たらい回し
日頃より海外の新聞や通信社の記事を目にするが、今ほど自分の人生や世界情勢を危惧しながら読んでいることはない。いち早く正確な情報を得ることこそが、極めて重要だと思う。冷静に正しく理解し、指図を受けてからではなく、自分で考えて行動する。そしてコロナウイルスが収束した世界で私たちはどのように生きていくのか。混乱前とはまったく異なる未来。「いまを伝えることば」を一つひとつ見つめることで、二歩三歩先を見据えて進めていければ。そう願い、始めます。
4月20日付のイギリスのBBCサイト内、アジアニュースより。
日を追うごとに、逼迫の度を増しいる日本の医療現場。戦場で懸命に戦っている医師たちから医療崩壊を警告しなければならないジレンマ。最初に日本で報道されて既に3ヶ月が経過。その間に日本政府は果たして、適切かつ迅速に準備および対応できていたのか。近ごろ、為政者がよく口にする「迅速に」である。
本日のことば
turn away
辞書で調べてみると、自動詞で「向きを変えて立ち去る、顔をそむける」他動詞で「追い払う、見捨てる」とある。この記事の中では以下の文章で使われている。
"One ambulance carrying a patient with coronavirus symptoms was turned away by 80 hospitals before he could be seen."
コロナウイルスの症状がある患者を搬送するも、80の医療機関に受け入れ拒否を受けたという。つまり「たらい回し」にあったということ。turn awayは「拒否する」という意味合いで用いられている。医療機関としても苦渋の決断だったのだと思う。医療従事者の方々も助けたいという強い使命感で日夜奮闘されている。しかしながら、その現場ごとの状況によっては受け入れが非常に困難だったと察する。記事には次のような内容も記載されている。
"Doctors have complained of a lack of protective equipment, which suggests Japan has not prepared well for the virus. This is despite the fact it was the second country outside China to record an infection, way back in January."
要約すれば、日本政府は医療現場に十分な対応をしてこなかったということ。これは現場の医師からの発言。しかも、日本では非常に早い段階で感染者が出ていたことも強調している。諸外国に日本の現状がこのように伝わっていることが、本当につらい。今般の大混乱については、政府に重大な責任があることは明らかだと強く思う。
さらにPCR検査について韓国と比較しながら、以下のようにまとめられている。
"Last month it conducted just 16% of the number of PCR (polymerase chain reaction) tests that South Korea did, according to data from Oxford University.
And unlike South Korea - which has brought its outbreak largely under control through a programme of large-scale testing - the Japanese government said that carrying out widespread testing was a 'waste of resources'."
どの時点での発言かは不明であるが、最後の一文には「日本政府が広範囲に渡る検査の実施は検査資源の無駄であると述べた」とある。あくまでBBCの記事からの引用だが、これがもし真実であるならばまったくもって理解に苦しむ。
政府や政治家を責めても状況は変わらないが、決して忘れてはならないと考える。それよりも肺炎で苦しんでいる方々が一日も早く快方に向かうことを心より切に願っている。それには、医療従事者の方々のご尽力なしには叶わない。
これ以上、現場の方々への負担を増やさないため、私は今日も元気に家にいる。
ちなみに、PCR検査のPCRとはpolymerase chain reactionとのこと。
