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「没有東西」送给你 文·圖 麥當諾

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先日、無事台湾より帰国。事前の下調べのおかげで満足のいく滞在となった。寺院参拝、占い、下町での食事や観光地巡りなど、限られた時間の中でこんなにも多くの体験ができたことに我ながら驚く。

私は旅先で必ず立ち寄るところがある。それは映画館と本屋。(映画については今週の水曜日と金曜日にて紹介予定) 本屋は台湾で有名な誠品書店の本店に行ってみた。当然のことながら中国語(繁体字)の書籍がズラリと並ぶ。しかしながら、意外にも雑誌コーナーには日本の雑誌が多数あり、日本の文化が台湾人にも受け入れられていることを直に感じることができた。

 

自己啓発本、漫画、エッセイ、そして今回紹介するこの絵本を購入。タイトルの「没有東西」送給你とは、日本語で「没有東西」を君にあげるという意味。

黒いわんちゃんのチチが仲良しのわんちゃんオウちゃんに何かプレゼントをしたいと思う。けれども、オウちゃんは何不自由なく暮らしているため、チチはいくら考えてもプレゼントが決まらない。考え抜いた末にチチが思いついたのが「没有東西」だった。チチは早速街に出かけ、いろいろな場所で「没有東西」を探すが見つからない。諦めて家に帰り着き、一旦探すのをやめ気持ちを落ち着かせる。すると「没有東西」を漸く手にすることができたのだ。そしてオウちゃんにプレゼントを手渡すのである。それは中には何も入っていない一つの大きな箱だった…

「没有東西」とは、日本語で「何もないこと」という意味。有り余るほどの物や情報などに支配されているこの時代において、私たちは本来大事にすべきものを見失い、目の前にいる人のことを蔑ろにはしてはいまいか。そのことをじんわりと読者に問いかける秀作である。

最後の場面では「只有我和你」「享受著没有東西」「和一切東西」という言葉で締めくくられている。「ぼくときみだけ」「何もないことを楽しみながら」「すべてのものと一緒に」今あるものすべてを否定するのではなく、身の回りあるものや人に感謝することを説いているように感じる。

 

今回の台湾の旅では、現地の観光地を巡るバスツアーにも参加。160人の参加者の中で日本人は私ひとり。いろいろな国々の人たちと楽しく会話をしていると、あるオーストラリア人から私がどのようにして英語を習得したのかを尋ねられる。多少的外れのようだが、咄嗟に次のような一言が口をついて出てきた。

“Talking with people is my life.”

「ちょっとカッコつけちゃいました」とその場では戯けたが、私の本心である。人と真摯に向き合い会話を楽しむことこそが、ことばを学ぶ秘訣であり醍醐味であろう。読了後の今も、私の心の中では様々な想いが交錯し続けている。