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아낌없이 주는 나무 / 쉘 실버스타인

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今回取り上げるのは『おおきな木』の韓国語版。子どもから大人まで多くの方々から愛読されている絵本である。

昨年2019年、海外旅行に行きたいと突如思い立つ。そんな時カメリアラインというフェリー会社が15周年記念として特別価格片道1500円で販売しているのを発見。即申し込み、往復3000円で行けることとなった。

6月下旬、2泊3日で2度目の韓国・釜山へ。韓国語を話せる割にはなぜかほとんど行こうとしなかった。しかし、日本では韓国語の書籍を購入できるところがほとんどないため、韓国に行って好みの本や雑誌をゆっくりと見て選びたいと思っていた。さらに海外の映画館で映画を観たいという気持ちもあり、釜山行きが実現した。

この『おおきな木』は、釜山にある宝水洞古本屋街の通りに位置する古本屋で見つけた。値段は400円ぐらいだったと思う。既に自宅には英語版と日本語版があるものの、韓国語版も手に入れておきたくなった。というのは、その韓国語のタイトルに惹かれたからだ。ここで、英語、日本語、韓国語のそれぞれのタイトルを並記してみる。

 

The Giving Tree

おおきな木

아낌없이 주는 나무 (読み方:アッキムオプシ ジュヌン ナム)

 

英語のタイトルは原題そのままである。内容の通り与えるという意味のgiveが使われている。それにingがついてgivingとなっているが、giveということばは基本的な意味として「(無償で)与える」という意味がある。つまり、木が男の子にすべてを無償で与えているということ。

日本語では、この無償で与えるというニュアンスあるいは木の個性を「おおきな」という日本語で表している。(ちなみに私が所持する本は、ほんだ きんいちろう やくとなっている)読んでいると、木が男の子をやさしく包み込んであげているような気持ちにさせてくれる。しかもひらがなで「おおきな」とし、漢字で「木」と表記しているところが心に染みる。

最後に韓国語だが、無償で与えるの部分を아낌없이 주는という表現を使っている。아낌없이とはアッキムオプシと読み「惜しみなく」という意味。無償でということばよりも更に気持ちが込められているように感じる。ちなみに주는とはジュヌンと読み「与える〜」という意味で後に続く木を修飾している。

 

私は韓国語版の아낌없이 주는という表現がとても好みだ。なぜなら、木の個性がそこに表れているから。あるいは、木の優しさがこのことば一つに凝縮されているように思う。たった一言で伝わり方が違う。

何を伝えるかではなく、どうやって伝えるかを学ぶ。今の日本と日本人が抱える数々の問題の根底にある課題ではないだろうか。絵本の翻訳文を比較することで、とても大切なことに改めて気付かされた。『おおきな木』は、常に私たちに何かを与えてくれる作品だと思う。