Who Moved My Cheese? / DR SPENCER JOHNSON
学校を卒業して今年でちょうど20年。就職超氷河期の真っ只中、就職活動も上手くいかず社会に放り出された当時のことをよく覚えている。テレビやラジオ関係の仕事に携わりたいと奔走していた。
ある時、ひと回り以上年上の方から二冊の書籍を勧められる。一冊はロバート・キヨマサ著の「金持ち父さん 貧乏父さん」そしてもう一冊が今回紹介する「チーズはどこへ消えた?」(原題“Who Moved My cheese?”)
早速2冊とも購入(どちらも日本語訳書籍)しかし、その頃の私には、内容を深く理解し自分自身に落とし込むことが全くできなかった。「一体なにが言いたいんだろう」と思いながらも分かったフリをしていた。もともと読書習慣が子どもの頃からなく、本を読むこと自体苦痛としか感じていなかった。(故に、今ことばの仕事に携われるようになったことに、我ながら感心し大変うれしく思う)
月日は流れ、昨年10月ごろ近所の書店に行くと、書籍の売れ筋ランキングに今回紹介する洋書もランクインしていた。手に取って暫く立ち読み。
「ヘェ〜、めちゃくちゃいい本じゃん。この本凄い!」
20年経って漸くこの本の主旨が理解でき、その柔軟な発想と鋭い観点に圧倒される。登場するのは4匹のネズミとチーズだけ。シンプルな設定ゆえ、その内容が更に際立つ。
読了後「執着」という言葉を、私は思い浮かべた。どうしても変化に臆病になりがちで、今までの物事に執着するきらいがあるためだ。しかし、以下七つの呼びかけが私の背中を確実に押してくれた。
Change Happens
Anticipate Change
Monitor Change
Adapt To Change Quickly
Change
Enjoy Change!
Be Ready To Change Quickly And Enjoy It Again & Again
世界中には様々な書籍が存在する。良本と言われる書籍もあれば、その逆もある。しかしながら、その判断は読み手本人によって決まると思う。どんなに素晴らしい書籍でもその時の自分にそれを受け入れるだけの「器」がなければ、自分自身の中に入ってくることはない。「面白くないな」と感じた内容でも、いつかは必要になる時が必ずや巡ってくるはず。
“Who Moved My Cheese?”は、およそ20年の間に私の中で起きた”Change“について改めて振り返る一冊となった。