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『もぎりよ 今夜も 有難う』 片桐 はいり著

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去る11月某日、北九州市内にある昭和館という映画館にてオールナイトの映画イベントが開催。自称「映画館出身で元もぎり嬢」という女優の片桐はいりさんがゲスト出演。

 

実は、この時まで「もぎり」という言葉を聞いたことがなかった私。(決して、歳を誤魔化して若者ぶるつもりはない。本当に以前は映画に全く興味がなかっただけ。)イベントで片桐さんからサインがいただけるとのこと。「サインが欲しいだけだから、今回は文庫本にしておこう」と、折角その隣にあったカバーに可愛らしいイラストが描かれた単行本ではなく文庫本を選んでしまう。このとても失礼な選択が今になって後悔の元となっている(自省)。

 

オールナイトイベントでは、片桐さんのトークショーや主演されたショートムービー「もぎりさん」も上映。その他にも映画・映画館にまつわる4作品を鑑賞。「いや〜映画って本当に素晴らしいものですね」と水野晴郎さんのような名台詞が頭に浮かんだ。

 

帰途して就寝。起床後一息ついて購入した文庫本を読む。映画館への底知れぬ愛情と感謝の気持ちが、文章の端々から伝わってくる。素直な思いで書かれたその筆致に、時に心が切なくなり目頭が熱くなる。

 

あとがきにはこんな文章も。(「有難うさんー文庫版あとがきにかえて」より引用)

「できればこのまま、老後も映画館に通い続けたい。たとえぼけてもねまきでキネマ。この世に有ることすら難しい映画館がわが町にあり、そこで映画とともに暮らす。この奇跡のような幸運をわたしはなんとしても手放したくないのだ。だからわたしは、今日も高揚で心をこめて頭を下げる。あらゆる町の奇跡を信じて。

  『有難う』『有難う』と言い続けたら、有難いことがかならず起きる。」

 

様々なものが有り難くなってしまった昨今。私は「有難う」ということばの意味を今一度噛み締めている。

 

もぎり(さん)よ 今夜も 有難う

 

 

※ちなみに、書籍タイトルは石原裕次郎さんの昭和の名曲「夜霧よ今夜も有難う」をもじっているそう。